それでも馬は走る

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負け続けた1番人気

1番人気に支持された馬は、2番人気や3番人気より勝率が高い。よく知られた法則だ。

「人気」は、馬券を買った人全員でつくるものなので、競馬ファンは、集団としては「正しい予想」をしているといえる。1番人気になった馬の勝率は、おおむね30%強。初心者の方は、迷ったらとりあえず1番人気を買っておけば、1日中外れ続けることはあまりないと思う。

ところが昨年の下半期のG1レースは、1番人気の馬が負け続けた。秋のG1初戦のスプリンターズステークスでは、13番人気のスノードラゴンが勝つ波乱。結局、JRAの芝・ダートのG1レース11レースのうち、1番人気が勝利したのは朝日杯フューチュリティステークス(ダノンプラチナ)だけだった。確率的には、珍しい現象が起こったといえる。

細かく見ていくと、実のところ、G1レースは普通のレースよりも1番人気が勝ちやすい。最近5年間の芝・ダートレースにおける1番人気馬の勝率を、レースのクラス別に見てみよう。

  • 新馬戦 34%
  • 未勝利 33%
  • 500万下 32%
  • 1000万下 30%
  • 1600万下 29%
  • オープン特別 29%
  • G3 25%
  • G2 32%
  • G1 35%

つまり、G1は、あらゆるクラスのレースの中で、最も1番人気が勝ちやすい。最も低いG3と、10ポイントもの差があることには驚かされる。G1には、圧倒的な力をもった馬が出てくることが多く、その馬が1番人気に支持されて順当に勝利するケースが目立つため、このような結果になるのだろう。

それだけに、なおさら昨年後半のG1の結果は特異だったといえる。「35%の確率で勝つ馬が11回レースに出て1回しか勝たない確率」は、およそ5%しかない。

この傾向が2015年も続くのかどうか。しばらく続くと見て、1番人気を軽視して高配当を狙うか、あるいは「そんなに1番人気が負け続けるわけがない」と考え手堅く人気馬を狙うか。どちらの作戦も面白い気がする。