それでも馬は走る

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1~3番人気がすべて馬券圏外になる確率

 今日は、競馬歴の長い大先輩と、たまたま昼食時にお会いした。

 彼の基本的な馬券スタイルは、3連複だ。軸馬を2頭決め、3頭目を総流しにする。3頭目に穴馬が来れば、配当は跳ね上がる。

 「昨年末の朝日杯は作戦がはまった」という。軸馬は素直に、1番人気のエアスピネル(武豊)とリオンディーズ(Mデムーロ)。順当にこの2頭が上位を占め、3着には11番人気のシャドウアプローチ(中谷)がつっこんできた。3連複の配当は8,150円。これをしこたま買っていたため、年末年始、大いに潤ったという。

 この先輩は長年、競馬用の口座にお金を入金していない。つまり、ずっとプラスということだ。もちろん、一時的なスランプで、低迷することはある。しかし、朝日杯のようなレースが年に数回あるため、長期的には損をしていない。
 
 馬券上手の極意は何か。一つ目は、ケンをすることだ。2頭の軸がはっきり決まらない時は、馬券を買わない。例えG1であっても、悠然と見送る。

 「俺は、馬券を買わなくても、レースを見るだけでも楽しめるからね」

 血統に詳しいこともあり、昔好きだった馬の子どもたちが競走するだけで、興奮できるらしい。そのうえで、ここぞというレースに、勝負をかける。

 「野球と違って、競馬には三振がない。だから、ストライクゾーンに来たボールを見逃してもいいんだ。ストライクゾーンの中で、ヒットを打てると思った時だけバットを振る」

 確かに、自信のないまま馬券を買ってしまい、後悔することはよくある。「自信がないときは見送る」ことがうまくできれば、成績は大いに向上するだろう。

 二つ目は、上位人気の馬を素直に評価することだ。

 「1~3番人気の3頭がそろって馬券圏外になる確率って、どのくらいだと思う?」
 「20%ぐらいですかね」
 「いや、もっと低い。ほとんどの場合、1~3番人気のうち少なくとも1頭は、3着以内に入る。だから、軸馬2頭を選ぶ時、そのうちの1頭は、基本的に1~3番人気の馬を中心に考える」

  試しに、2015年のJRA全レースで調べてみたところ、1~3番人気がすべて馬券圏外になる確率は、7.7%しかなかった。2014年は7.2%、2013年は7.4%でほぼ同じだ。つまり、上位人気をすべて無視するような馬券を買うと、ほとんどの場合外れてしまう。

 「もちろんたまには、5番人気、8番人気、13番人気で決着して大万馬券、というようなレースもある。そういう時は、潔くあきらめてクヨクヨしない」

 確かにそうすれば、特異な大荒れレースを狙って、リズムを崩すことも少ないだろう。自分のスタイルを築いて、一喜一憂せずに淡々と勝負することが、勝ち組への近道ということを学んだ1日だった。